
地域企業の「見えない資産」を発見し、10年後も選ばれる理由を構想する3時間
2026年7月30日、宮城県産業技術総合センターにおいて開催された「10年後の自社を考える構想セミナー―地域企業は、何を変え、何を残すべきか―」に、dezanin代表・デザインディレクター/地域プロデューサーの高橋雄一郎が講師として登壇しました。
本セミナーは、中小企業の経営者・役員を対象に、人口減少、採用難、価格転嫁、AI・DXの進展など、企業を取り巻く環境変化を見据えながら、自社が10年後も顧客や地域から必要とされるために「何を変え、何を残すべきか」を考えることを目的に開催されたものです。会場となった宮城県産業技術総合センター大会議室には多くの皆様にご参加いただき、13時から16時までの3時間にわたり、講義とワークを実施しました。
セミナーでは、目の前の商品やサービスを改善する前に、まず「10年後、自社は何によって選ばれる存在であり続けているのか」を考えることからスタートしました。企業の価値は、価格、性能、設備、売上といった数字やスペックだけで決まるものではありません。長年蓄積してきた技術、顧客や取引先からの信頼、現場で受け継がれてきた仕事への姿勢、地域における役割、創業から現在までの歴史など、決算書には載らない「見えない資産」が、その企業にしかつくることのできない価値を支えています。参加者の皆様には、未来から現在を逆算するオリジナルワークシートを使用し、自社が持つ目に見えない強みや、次の世代へ残すべき価値について整理していただきました。


企業を支える「根」を見つめ直す
講義では、企業を一本の樹木に例えた「木のモデル」を紹介しました。地上に見えている枝葉や幹は、商品、設備、価格、売上など、外部からも比較しやすい要素です。一方、地中に広がる根は、企業理念、文化、信頼、独自の技術、地域との関係性など、簡単には模倣できず、外部から購入することもできない資産を表しています。時代に合わせて商品や事業の形を変えることは必要です。しかし、その変化によって企業を支えてきた「根」まで失ってしまえば、その会社らしさや、選ばれてきた理由も失われてしまいます。だからこそ、変化を始める前に、自社にとって「失ったら困るものは何か」を明確にする必要があります。
本質は残し、伝え方を変える
セミナーの後半では、発見した企業価値を事業活動へ接続するためのプロセスとして、
発見 → 整理 → 言語化 → 発信 → 活用
という5つのステップを解説しました。多くの企業には優れた技術や誠実な仕事、地域からの信頼があります。しかし、その価値に自ら気づいていなかったり、言葉として社内で共有されていなかったり、製品のスペックだけで説明されていたりするため、顧客や働き手に十分伝わっていないことがあります。企業が大切にしてきた本質を守りながら、顧客、求職者、取引先、地域など、届ける相手に応じて伝え方を変えていく。その設計が、商品開発だけでなく、採用、広報、販路開拓、事業承継においても重要になります。
講師・高橋雄一郎からのコメント
企業の未来を考えるとき、私たちは新しい商品や技術など、「これから何を加えるか」に目を向けがちです。しかし、本当に必要なのは、変化を始める前に、自社がこれまで何を守り、何によって信頼され、誰に必要とされてきたのかを見つめ直すことだと考えています。地域企業の中には、経営者や社員の皆様にとっては当たり前になっているものの、ほかの企業には決して真似できない価値が数多く眠っています。その価値を発見し、言葉にし、未来の事業へつないでいくことができれば、地域企業は価格や規模だけではない理由によって選ばれる存在になれます。今回のセミナーが、参加された皆様にとって、自社の未来を構想するだけでなく、これまで積み重ねてきた歩みに誇りを持つ機会になっていれば幸いです。
dezaninが目指すもの
dezaninは、地域や企業の中に蓄積されながら、まだ言葉や形になっていない「見えざる資産」を発見し、選ばれる理由として社会へ届けるデザインに取り組んでいます。見た目を整えることだけをデザインとは考えません。企業の歴史、技術、文化、関係性、経営者の意思を掘り起こし、言葉、映像、WEB、商品開発、事業構想へと接続することで、その企業にしかつくれない未来を実装していきます。
今後も、地域企業が自らの価値を再発見し、次の世代へ継承しながら、変化の時代に必要とされ続けるための構想づくりを支援してまいります。

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